toggle
2017-04-24

劇団5454第11回公演「好き」観戦記! 演劇的思考編(微ネタバレあり!

本日も行ってまいりました。劇団5454第11回公演「好き」!
本日はマチソワの2回観劇。すでに初日とは少し変わってきている「好き」の進化とか個人的感想などなど行ってみようと思います。

今回の「好き」はまず結構ビックリしました。
正直なところ、5454さんでこういう演出の舞台を観るとは思わなかったこと。
私の中ではちょっと異色な春陽漁介節と言うか、こういうのも春陽さんの料理で観ると面白いなぁと思ったのです。
劇団5454さんではファンタジーを結構舞台にしてると思うのですが、それはあくまでも設定上の話で、舞台の中での表現としてのファンタジーさというのは実はあまりなかったのではないかなと思います。
ただ、今回のお話、実にリアルなんだけど、とても現実では可視化されるものではないのかなと思うので、こういう手法はアリだ! と思った次第です。

今回の物語は初日からずっと考えていたんですけど、多分誰かの「脳内会議」を観ているようなものなのかなと。

舞台上にいる8人は、8人それぞれ個性があり独立した人間のように見えながら、それぞれの特性は誰の中にも全てあり、まるで一人の人間が何役もこなして答えの出ない一人芝居をしているよう。
でもそれは無駄でも絶望でもなく、実は生きて行く上で笑ったり泣いたり悩んだり進んだりするその行動にすべてつながって行くプロセスの一環。
幸太という人間は一人で言葉について考えるのではなく、友人というカウンセラーを側において思考を続ける。彼に言葉をかけてくる者たちは皆それぞれに別の答えを示す。
そのままでいい、別の道がある、知識から割り出される理想、社会的普通の模範解答、振り回して思考を飛ばさせる感情。
それらの沢山の可能性や選択肢が人の形をとってぐるぐると取り囲む。
そういうものが頭の中で意識的にも無意識的にも会議のように鬩ぎ合って、自分の行動が選択される。

「好き」

この言葉一つが、人間に何をもたらすか。
幸太を取り巻く騒動は果たして本当に取り巻いているのか、それとも彼の頭の中で繰り広げられるもののカリカチュアなのか。

今回のお芝居は本当に淡々と話が進む中で、少しずつ変化が現れ、何かが積み重なり、半月の時間を経て得る経験値の分だけ動く。
劇的なエピソードはないけれど、誰の中にもあるお話。

そして、誰かに感情移入するとすごく不器用な世界なのに、すべてをバランスよく受け入れると器用に生きて行ける流れ。
ギミックと言うギミックではないし、誰かに語りたくなる薀蓄でもロジックでもない。
でも、誰の中にもあって、それをものすごくきれいにバランスよく行うのはとても難しいのを知っているからこそ、不器用な登場人物たちに感情移入してしまう。

舞台の上のそれを愛することはたやすいのに、現実で自分の中にあるそれを愛するのはなかなか難しい。
でも、そんな難しいものを愛するヒントをもらうような、そんな物語のお芝居だと思うのです。

ちょっと具体的にネタバレしないように書くと、とても抽象的なお話になってしまうのですが、観終った後に少し自分に当てはめて考えてもらうと、ダイレクトに受け止めるストーリーとはまた違った面白みがある。そんな、二度も三度も繰り返す度に美味しい。

そんなことをつらつらと考えてしまう、味わい深い舞台でした。
観た人には「あー!」と思ってもらえて、見てない人は「どんななの?」と興味を深めていただければ幸いです。

難しい事考えなくてもめっちゃ面白いですよ!
シンプルながら美味しいパイで包まれた難しいシチュー。でも食べたら美味しいのは間違いなし!

そんなお勧めで観戦記第二回目を締めくくらせていただきます。
早くもまた観たいskinpopでしたw

関連記事