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2017-05-01

劇団5454第11回公演「好き」観戦記! 客席で思う事編(ややネタバレあり!

東京千秋楽終わってしまいました!
良かった! 良いお芝居だった!
初日に見て、千秋楽を見て、微妙に変わった姿を見届けて満足して劇場を出て参りました。
Twitterでぼそぼそ呟いたりもしたけれど、久々に良いものを観たと言えるお芝居でした。

2017年4月30日、最高の150分を堪能してまいりました。

劇場に入って客席についた瞬間から無駄なものが何もない充実した世界でした。
のっけからネタバレになるのですが、今回は会場時から板付きです。
公園のベンチに座って雑誌を読んでる幸太を会場と同時に客席に入ればフルに30分眺めることが出来ます。

今回、中央から後ろの席は大当りでした。

座っている幸太を見下ろすことが出来ます。
これって、里穂と同じ体験ができるんですから!
30分間、ずっと自分の部屋のベランダから何をしてるんだろうと考えながら幸太を見ていられる。
お芝居の中では出せない、いまこの時間でなければ観られない演出。
時々人が前を横切るのも、他の人の話し声が聞こえるのも、それがまたリアルに幸太と同じ世界に居て、じっとその様子を見ていると体感できるんですから。
BGMでかかっている曲は多分幸太が聞いている曲なんですけど、里穂はそれを聞くことはできない。
だからじっと黙ってひとの通り過ぎる公園の中で、何にも動じずずっと漫画を読んでる幸太を見てる。
時々座席案内で横切る関さんが見えると、ちょっとそっちに気を取られちゃうのは、私が里穂ではないからなのですがw

でも、そうやって幸太の外見をたっぷり見つめてから、里穂がどうして彼に声をかけたくなったのか、そんなことを考えるのも幸せでした。

そして、幕が上がり照明が変わると、今度は里穂の住むマンションの別の部屋の住人になれる。
自分の部屋の窓から移りゆく悲喜交々を眺めて、時に愉快なバカップルを見て笑い、時に感情移入して、幸太と里穂の物語を観る。

幸太に感情移入して得るものと、幸太を客観視して得るものが微妙に変わるのも面白い。
幸太に感情移入してしまうと、どうしても感情に引きずられる。
幸太は一件クールで感情が乏しく思えるけど、里穂がロマンチックだと思ったように本当はすごく感情的で、いろんなものがそれをフタしているだけ。
それは多分感情移入してしまっていては見えないもの。ナベさんが言う通り、どんなに客観視しようとしてもどうしても自分では見えないもの。なんだと思います。
客席という窓から見ていると、それがすごくよく分かる。

脳内会議から客席への移動の変化は、当然芝居内容の変化によって導かれたものだと思います。

初日辺りと千秋楽前では、変化は僅かでも、大きく変わったものがあって、それが幸太を「思考の記号」から「一人の人間」に変化させたと私は思っています。
この辺りは考えすぎもあるかもしれないけど、演出の春陽さんと演じた佑樹丸くんの技量の素晴らしさかと思うのです。
イメージも印象も変わってない。なのにキャラクターの個が僅かに立つだけで一気に変化する。
私は後半の「好き」の方が人間ドラマ的でより好みです。個人的には脳へのカロリーも高く、深みもすごく感じました。

そして、幸太の変化は他の登場人物たちの見え方すら変えてきます。

特に変わったのは幸太の両親。
人間味の増した幸太の言葉に厚みが出たことで「好き」と「関係性」は別のものというメッセージがより深みを増しました。
それはただ単に別なんだからという「区分け」から「許容」に変化したのだと思います。
父親になれなかった男に、父親でなくても好きなら別の形で見守っていていい。
夫として続けられなかった男に、夫でなくても好きならば別の形で寄り添ってもいい。
私の中ではここは大きな変化でした。
「関係性が変わっても、好きなら仕方ない」から「好きなら、関係性が変わっても、別の関係性を生み出すことが出来る」くらいの変化でした。

私が圧倒的に後半の幸太が好きなのはそこです。
窓から眺めることで、そんなことを教えてくれる幸太が大好きです。

ま、付き合いたいとは思えないんですけどねw

さて、ざっくりとこんな感じで東京千秋楽までの観戦記を締めくくろうかと思います。
仕事の合間に脱走して芝居見てまた仕事に戻るというアホのような事をしただけの甲斐はありました。

まだ大分、大阪と公演があるので、これ以上のネタバレはできませんし、今回は登場人物全てを先入観なしで見た方が絶対面白いお芝居なので、個別解説もしていないですが、大千秋楽を終えた後にまた語らいたいと思います!

つか、大阪行きたい!何とかしたい!の一心で仕事がんばります(^^;

それでは散漫な観戦記となっておりますが、また客席でお会いできますことを祈って。
東京千秋楽、おつかれさまでした!

追伸

キャラが立つってのは本当に難しいんですよ。
同じシーン、同じストーリーを生きていても、ほんの少しの変化で別の人にまでなる。
それが大筋を変えずに、印象だけで人を変えた佑樹丸くんの演技力ってホントすごいなと思うのです。
変わる前も決してつまらなかったわけじゃないです。むしろ、あれはあれで面白かった。
でも、好みの問題として後半の幸太の方が私は好きだなぁと思うのです。

その好きを伝えたくて、いろんな言い回しで頑張るんですけど、なかなか難しいのを実感して、ホントに凄い役で素敵な話だったなと改めて思いましたw

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