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2018-03-28

劇団5454第12回公演「トランスイマー」観戦記!(ややネタバレあり

 やーっと観劇できました! 劇団5454様「トランスイマー」!
 これを観ずして何を観るのかと、スケジュールぶっちぎって観劇してまいりました。

 幸せです(^-^)ウフー

 そんな幸せにしてくれる今作「トランスイマー」のストーリーもまた幸せになろうともがく女の子の物語であり、また人間というものの脳の不思議のお話でもありました。
 トランスイマーは正確には再演になるのですが、春陽さんの再演作にある「同一人物で違う世界線のifの物語」なお話の作りは、単なる再演や演出変更ではなく「もしも」の可能性を追いかけて行く。
 両方の世界の物語を見れば、より深い物語へと導かれる。そんな風に楽しめる再演でした。

 初演の時も里子ってあれ私でしょ! 並みに共感していたのですが、今作の方がより強く共感できる人になってたと思います。
 もう何と言うか、わかる! わかるのよ! その気持ち! だよね! だよね! とずっと頷きっぱなし!
 里子の幸せが私の幸せの様な錯覚すらしてしまうほど、本当に共感できる人物でした。

 コミュ障で恋愛トラウマ持ちの里子が、それ故に幸せを信じられずに葛藤し続ける物語。

 前作の里子は研究者という立場の所為か、どこか少し離れている所から自分を見ているようなところがあり、どうして里子は幸せが恐いのか、どうして今が嫌なのかをずっと見せてくれました。
 それはそれですごく分かりやすくもあったんだけど、共感するというにはちょっと客観視過ぎたのかもしれません。
 今作の里子は等身大の女性で、誰もがなりうる存在。学生時代の恋愛トラウマを拗らせて、恋愛を夢見ながらもそれを拒み続けている。そう言う共感するエピソードが入って、里子という人物がよりリアルになることで、里子の深い根の部分が見えた気がします。

 この人を失うのが恐いから、自分から手放してしまおう。
 失恋の痛手をより軽減する為に、自ら別れを切り出してそれを受け止めようとする。

 好きだから別れたい。

 この心理はすごーくよく分かります。第三者が観れば「そこじゃないでしょ!」と思うような事なんですが、当人からしてみたら必死な話。
 その根底には「私が幸せになれるはずがない」という自信の無さがある。
 里子の場合は「罰ゲームで告白されるような女の子」というトラウマがその根源。
 どうせ私なんて。と卑屈な考え方になっているというよりは、その時突きつけられた「女の子としての否定」が彼女の心を深く傷ついているから。

 森島縁さんの演じる里子は、バカはするけど見苦しい卑屈さはない。それは、心の中に傷があるのが見えて、卑屈になるなよとは言えない気持ちにさせられるから。
 エキセントリックながらも、身近な存在に落とし込んだ縁さんの「里子」は前作の「里子」を越える存在にまでなっているように思います。
 台詞で出ない所まで作り込んでる役作りならではの深みを強く感じられて、縁さんの演技のすごさを感じるわけです。

 そんな里子が紆余曲折を経て、次の一歩を踏み出すまでの物語が今作の「トランスイマー」だと思いました。

 トラウマ解消はトラウマの根源を解消して解決。
 安易にそう考えることもできるのに、そこにはあえて触れない。
 トラウマを持った里子がトラウマのない里子になって幸せになるのではなく、トラウマを抱えた里子がそのままで幸せの道を見つけ出すというのが重要なんだと思います。
 ファンタジーにすると何でもできる世界の中で、敢えて安易な解決方法は選ばない。
 一生懸命生きる毎日にほんの少しの手助けとしての「ファンタジー」。
 そんな春陽さんの物語の素敵な部分も存分に味わえます。

 大阪公演もあるので大々的なネタバレは避けますが、もし前作を観劇済みで、話も落ちも知ってるよと思っても、もう一度見て欲しいです。
 これ、もう一回観た方が、絶対前作も面白くなるし、今回のお話も面白いです。
 千穐楽を見て、私は自宅でもう一回DVDでトランスイマーを見返して、やっぱりこれ面白いよと自信を持って言えます。

 細かいところを上げ始めると本当にきりがないくらい、沢山のネタとギミックが仕込まれていて、ある時ふと全然関係ない事をしてる時にお話のネタバレに気が付くと言う楽しさもあります。

 ユングは読んだことがなくても、夢を見たことがある人なら
 集合的無意識は知らなくても、偶然を感じたことがある人なら
 是非是非トランスイマーを見て欲しいなと思います。

 私ですか?
 大阪のホテル予約しちゃいましたw

 今から5月がものすごーく楽しみです!!

 劇団5454公式Web

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